フルポチ君古着屋を経営していく中で、原価管理や在庫管理、会計処理を適切に行うことは、利益を最大化し経営を安定させるうえで極めて重要です。
本記事では、「古着屋 原価管理 在庫」のキーワードに基づき、古着屋経営者やこれから開業する方に向けて、実践的かつ有益な情報を網羅的にご紹介します。
✅ まず何をすればいい?初心者向けスタートガイド
「原価管理とか帳簿とか、よく分からない…」という方は、以下の3ステップだけまずやってみてください:
- 商品が売れたら、ノートやスマホで「仕入額と売値」をメモ
- 月に1回、「仕入れた数」と「売れた数」をざっくり集計
- 毎月の経費(家賃や交通費など)をメモしておく
これだけでも立派な原価管理・売上管理の第一歩です。慣れてきたら、スプレッドシートで一覧表を作ればOKです。
✅ 原価とは?古着屋における意味と考え方


古着屋でいう「原価」とは、販売する1着の仕入れコストを指します。
- フリマアプリや業者仕入れ:実際の購入価格+送料
- 現地買付け:現地での購入金額+渡航費や宿泊費を着数で按分
- 輸入時の関税や消費税も忘れずに加算
▶ 原価率の目安
一般的には、販売価格の30%以下が理想です。
例:
- 販売価格:3,000円
- 原価:900円
- 原価率:30%
✅ ベール仕入れ時・ピック仕入れ時の原価処理方法(実例付き)





ベール(bale)とは、古着が圧縮・梱包された単位で販売される仕入れ形態です。1ベールに約80〜120着程度入っており、中身はランダムです。
▶ 原価計算方法(ベール仕入れの場合)
例えば:
- 仕入額:88,000円(税込・送料込)
- 入っていた商品数:100着
→ 1着あたりの原価:880円
これをExcelなどの管理表にて、100着すべてに「原価880円」として入力しておきます。
▶ 原価計算方法(ピック仕入れの場合)
例えば:
- 卸倉庫で100着を自由に選び、合計25万円(税込)で仕入れた場合
→ 1着あたりの平均原価:2,500円
この場合も基本は全商品を平均単価で処理するのが原則ですが、状態やブランドに応じて以下のように「グレード別単価」で按分しても構いません:
- Sランク品(30着):3,000円
- Aランク品(40着):2,500円
- Bランク品(30着):1,800円
ただし、会計帳簿に記録する際はその根拠(状態や写真など)を残しておくと信頼性が高まります。
▶ ポイント
- 「良品」「訳あり品」「売れ残り」も含めて1着あたりに均等配分するのが原則です(後で粗利率分析しやすくなるため)
- どうしても状態差が大きい場合は、「Sランク=1000円、Bランク=700円」などのように、グレードで按分してもOKです(ただし会計処理上は説明責任が発生するため注意)
✅ 在庫管理の基本:古着屋に最適な方法(SKUなしでもOK)



古着は一点ものが多く、在庫管理が難しいですが、以下の方法で効率化できます。
▶ 管理の基本手法
SKU(在庫管理番号)はあれば理想ですが、実際には零細店舗や一点物を多く扱う古着屋では導入が現実的でないこともあります。その場合は、以下のような簡易管理でも十分です:
- SKUを使わず「仕入日+カテゴリ+通し番号」などで簡単な管理記号をつける(例:20240601-TEE-01)
- もしくは「写真+スプレッドシートの並び順」で管理し、在庫シートと商品写真を連動
- 一覧表には「商品名」「仕入日」「原価」「売価」「販売日」「利益」のみを記録
SKUは必須ではなく、“あとから見直せるように”という目的であれば、柔軟な運用で十分です
- ExcelまたはGoogleスプレッドシートで「仕入日・原価・販売日・売価・利益」を管理
- 写真管理も併用すると万引き防止やEC出品にも便利
▶ おすすめツール
SKU不要でも対応できる柔軟なツールがおすすめです。
- Google スプレッドシート(無料・共有可能)
- AirレジなどのPOS連携ツール
- 在庫連携ツール(BASE、STORES、メルカリShopsなど複数チャネルを使う場合)
✅ 1着ごとの原価をどう記録するか?
1点ごとの原価を明確に管理するには、
- SKU(商品管理番号)ごとに原価を記録
- 仕入日・仕入先・原価を記録し、売れた日・売価・利益を追記
▶ フォーマット例:
| SKU | 商品名 | 仕入日 | 原価 | 売価 | 利益 | 売却日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 001 | Levi’s501 | 2025/04/10 | 1,000円 | 3,000円 | 2,000円 | 2025/05/01 |
✅ 確定申告・会計処理の基本:個人事業主・法人別に解説


▶ おすすめの会計ソフト
初心者から中小企業まで使いやすく、クラウド対応で確定申告もスムーズです。
- freee会計:仕訳の自動化が強力。確定申告まで完結可能。
- マネーフォワードクラウド:銀行・カード連携に強く、月次管理にも◎。
▶ 税理士の探し方
税理士を探すには以下のようなプラットフォームが便利です:
「古着屋 経営 税理士」などで地域検索も有効です。副業対応の税理士も増えてきています。
▶ 役に立つ在庫管理方法の記事
- 【保存版】在庫管理の基本と古着屋向けの応用テクニック(外部リンク)
▶ 個人事業主の場合
- 青色申告がおすすめ(最大65万円控除)
- 「現金主義」か「発生主義」を選択(スプレッドシートと連動しやすい)
- 経費計上例:仕入れ、家賃、通信費、交通費、棚卸減耗費など
▶ 法人の場合
- 決算書作成が必要(貸借対照表・損益計算書)
- 税理士に依頼する場合はデータ形式を明確に共有(CSV/Excel)
- 会計ソフト(freee、マネーフォワード等)と連携
▶ 棚卸と売上原価の計算方法
売上原価 = 期首在庫 + 仕入 - 期末在庫
これにより、月別や年別の粗利益を正確に算出可能。
✅ 実践Tips:収益性を高める原価・在庫管理のコツ(+ロス処理も解説)
- 原価率30%以下を目標に仕入れ先を見直す
- 季節ごとの売れ筋を分析し、在庫回転率を改善
- 売れ残り在庫は「値下げ or 福袋」でキャッシュ化
- 万引きロスや破損ロスを記録し、定期的に棚卸で実数と突合
- 月1回の棚卸で「実在庫×平均原価」を再確認
✅ ロスが出た時の処理方法
古着屋では、万引き・破損・紛失・経年劣化などによる在庫ロスが発生することがあります。
▶ ロス処理の基本
- 月1回の棚卸で在庫数量と帳簿の突合を行い、不一致があれば「ロス在庫」として処理します。
- ロスが出た商品分の原価を「棚卸減耗費」や「商品評価損」として経費計上可能です。
▶ 記録テンプレート例
| SKU | 商品名 | 原価 | ロス理由 | 処理日 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 023 | ナイロンJKT | 1,500円 | 万引き | 2025/05/31 | 店内防犯カメラ確認済み |
| 037 | Tシャツ | 800円 | 汚れ破損 | 2025/05/31 | 倉庫内水漏れによる染み |
このように、記録を残しておくことで、税務調査時にも説明が可能となります。
✅ 原価管理・売上管理・販管費テンプレート(完全保存版+初心者用サンプル付)



実務で使えるGoogleスプレッドシート形式のテンプレート例を紹介します。下記のような構成にしておくと、仕入・在庫・売上・利益すべてが一元管理できます。
▶ シート構成例(Googleスプレッドシート推奨)
- 商品管理シート
| SKU | 商品名 | 仕入日 | 仕入先 | 原価 | 在庫数 | 状態 |
|——|———|———-|———-|——–|———|——|
| 001 | Levi’s 501 | 2025/04/01 | 卸倉庫 | 1,000円 | 1 | 良好 | - 売上管理シート
| 売上日 | SKU | 商品名 | 売価 | 販売チャネル | 利益 | 備考 |
|——–|——|———|——|—————-|——-|——–|
| 2025/05/02 | 001 | Levi’s 501 | 3,000円 | 店舗 | 2,000円 | | - 在庫ロス管理シート
| SKU | 商品名 | 原価 | ロス理由 | ロス日 | 備考 |
|——|———|——–|———–|———|——–|
| 023 | ナイロンJKT | 1,500円 | 万引き | 2025/05/31 | 監視カメラ確認済み | - 販管費管理シート
| 費目 | 月 | 金額 | 備考 |
|——–|——–|——–|——–|
| 家賃 | 5月 | 100,000円 | 店舗賃料 |
| 通信費 | 5月 | 8,000円 | ポケットWi-Fi |
| 外注費 | 5月 | 20,000円 | インスタ広告運用 |
| 交通費 | 5月 | 6,000円 | 仕入れ出張 |
このように毎月の販管費を記録しておくことで、損益管理が明確になり、確定申告や決算時にも非常にスムーズです。
- 初心者向けサンプルテンプレート
「とりあえず真似して使いたい!」という方は、以下のような超シンプルなテンプレートから始めてみましょう。
| 商品名 | 仕入日 | 原価 | 売価 | 売れた日 | 利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| デニムジャケット | 6/1 | 1,000円 | 3,000円 | 6/10 | 2,000円 |
| 総柄シャツ | 6/2 | 800円 | 未販売 | – | – |
このように、手書きでもスプレッドシートでも構いません。「原価・売価・日付」だけ分かれば、後からでも帳簿や分析に使えます。
▶ おすすめ機能
- フィルターで「売上月別」や「仕入先別」に絞り込み
- Googleフォームで店舗スタッフが仕入れ・販売・ロス入力を共有
- 利益分析のためのグラフやダッシュボード連携(Google Data Studioなど)
✅ よくある質問(FAQ)
Q. ベールで仕入れた商品が売れ残ったらどう処理する?
A. 基本的には在庫資産として残ります。年度末に「棚卸減耗費」や「評価損」として一部経費化することも可能です(税理士に要確認)。
Q. 1点ものなのに在庫管理は必要?
A. はい、SKUのような高度な番号付けは不要でも、仕入日・原価・販売日を記録するだけで十分な原価・売上管理が可能です。最低限の記録でも継続することが大切です。
Q. 商品が盗難・破損に遭った場合の処理は?
A. 「棚卸減耗費」として経費計上可能。月1回の棚卸で差異が出た場合は記録を残し、帳簿に反映しましょう。
Q. 税理士は必須?
A. 個人でも青色申告で十分対応できますが、売上が大きくなる場合や法人化する場合は税理士のサポートを受けるのが安心です。
✅ まとめ:古着屋における原価・在庫・会計を制する者が利益を制す!



古着屋経営において、原価と在庫を「数字で見える化」することは成功への近道です。一点ごとの原価を正確に管理し、在庫状況を把握し、会計処理を丁寧に行うことで、無駄なロスを防ぎ、確実に利益を積み上げていけます。
本記事をバイブルとして、あなたの古着屋経営がより強く、安定することを願っています。









